スギ花粉症の舌下免疫療法を始める時期です
1.舌下免疫療法とは?
毎年、スギ花粉の季節に鼻炎症状で苦しむ患者さんが多くいらっしゃいます。また、ダニによる通年性の鼻炎症状に悩む方も少なくありません。抗アレルギー薬の内服、点眼、ステロイド薬の点鼻を併用して何とかしのぐ方もいますが、効果が不十分な場合もあります。特にダニが原因の方は、年間を通じて抗アレルギー薬を使用しているケースが多いです。
舌下免疫療法は、アレルギー反応そのものを抑制する治療法で、「原因療法」とも言えます。
2.舌下免疫療法が適している方
- 毎年、スギ花粉症状で仕事や勉強に支障が出る(受験勉強が心配)
- ダニアレルギーで日常的に症状がある
- 抗アレルギー薬が効果がない、または副作用で眠くなる
- 注射治療や鼻粘膜レーザー治療を避けたい
3.舌下免疫療法を受けられる方
- 5歳から6
- スギやダニが検査で陽性
- 重症気管支喘息の既往がない
- 1分間、薬を舌の下で保持できる方
- 3年以上継続治療が可能な方(根気が必要です)
- 1~2か月間隔で受診できる方
- 妊娠中および授乳中でない方
- 悪性腫瘍や免疫の病気がない方
4.治療開始の手順
スギに対する舌下免疫療法の薬は「シダキュア」です。最初は低濃度のものを1週間使用し、2週目以降は濃度を上げたものを継続します。ダニに対する舌下免疫療法薬「ミティキュア」も同様に低濃度から開始します。
5.シダキュアの開始時期
シダキュアは6月以降から秋までに開始することが推奨されます。
6.ミティキュアとの併用
スギ花粉とダニの両方にアレルギーがある場合、両方の治療を同時に行うことができます。ただし、まずスギから開始し、1か月後にダニの治療を開始します。併用開始後は朝と夕に分けて使用し、問題がなければ夜に5分間隔で使用します。
7.治療の流れ
- アレルギー検査:スギやダニのアレルギー有無を調べます。当クリニックでは、指先からの微量採血で30分で41種類のアレルギーを調べるドロップスクリーンを採用しています。
- 初回投与:クリニック内で薬を舌下に投与し、30分間様子を見ます。薬を舌の下に置き、1分間保持します。初回は薬局で薬を受け取り、クリニック内で30分間様子を見ます。
- 自宅での継続:初回投与で大きな症状がなければ、翌日から6日間は自宅で同じ濃度を続けます。
- 再診:2週目の前に再度来院し、副作用がなければ濃度を上げた薬を処方します。その後、3年以上同じ濃度を継続します。
9.副作用
副作用として、舌や口内のしびれや違和感がありますが、軽度の場合が多く、治療を中止することは稀です。ごく稀にアナフィラキシーを起こす可能性もあるため、事前に医師の説明を受けてください。
10.当クリニックでの流れ
舌下免疫療法をご希望の方は、予約または直接ご来院ください。院内待機が30分必要なため、受付終了時間の30分前までにご来院ください。